東日本フェリー(北海道函館市、古閑信二社長)は9月1日、函館〜青森間に新高速船を就航する。これに先立ち6日、東京都のオーストラリア大使館で就航説明会を開き、船の概要や事業について説明を行った。所要時間が従来の3分の1になることを強みに、北海道〜東北間の交流人口の拡大を図る。
9月から同航路に就航するのはオーストラリアのインキャット社製双胴型高速船「ナッチャンRera」。波浪貫通型を採用しているため、「振動や振音がなく、燃費も良い」(同社)という。またカーフェリーの難点であった乗船・下船時の手間と待ち時間を、手続きのスリム化により短縮。運行時間と合わせて従来約6時間だった所要時間が約2時間になった。
6日の発表会には、今年が日豪通商協定調印50周年ということもあり、オーストラリア公使のフィル・イングラム氏も参加。「優れた造船技術を持つ日本で、オーストラリアの船が導入されたことは喜ばしい」と述べ、今後の両国の商業交流の促進に期待感を示した。
続いてあいさつした古閑社長は「『くさい、汚い、遅い』というフェリーのイメージを一新したい。函館、青森とその周辺の広域観光を促す一助になれれば」と話し、JRや航空会社との提携による共通利用券の発行など、今後の事業の積極的な展開への意欲ものぞかせた。青森、函館の両フェリーターミナルの整備も進め「観光拠点としても活用できる施設づくりを行いたい」と同氏。
現在の東日本フェリーは06年創立。旧・東日本フェリーを05年に吸収合併した総合海運事業会社、リベラホールディングス(広島県呉市、山本憲治会長)の持ち株会社化に伴う分社化によりできた。今年3月にリベラからフェリー事業を継承した。
固い握手を交わす古閑社長(左)とイングラム氏(右)